言いたいことはタイトルの通りです。

先日のFNMでのこと。

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自分のデッキ……ナヤミッドレンジ
相手のデッキ……バントカンパニー

サイド後2本目、先手5ターン目
自分の場……《森の代言者》、《死霧の猛禽》、アンタップ土地5
相手の場……アンタップ土地4

自分の手札……2枚(インスタントタイミングのカードなし)

自分はサイドボードから《神聖なる月光》を2枚積んでいます。
(相手にはまだ見えていません)

相手はどう見ても《集合した中隊》を構えているように見えたので、《大天使アヴァシン》を持っているフリをしながら、戦闘の宣言を普段より少しだけ丁寧に行いました。

・「戦闘開始」
・「(森の代言者と死霧の猛禽を持って)アタック指定」
・「ブロック指定まで」

相手はそれぞれに「はい」と返事をした後、集合した中隊をキャストしました。
私はそれに対して少し考えた後に「はい」と言って優先権放棄。

相手はその後《変位エルドラージ》と《森の代言者》を出し、ブロックをしようとしました。
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私のこれに対して以下の対応をしました。

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①集合した中隊をブロック指定後に唱えたので、ブロックを拒否しました。
②それに対して相手が集合した中隊で出すクリーチャーの再選択を望んだので、許可しました。
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もちろん、今回はルールとしては①も②も拒否するのが正しいです。ちゃんとした大会だったらそうするでしょう。

しかし今回はFNMです。カジュアルプレイの時、私は基本的に以下の指針で動いています。

・情報が変化しない状態でのミスは巻き戻しを許可する。
例:アヴァシンに土地5枚代言者が突撃してダメージ解決時に気づく

この場合、相手がこの間にドローや占術をしていないなら、巻き戻しを許可しています。
ドローや占術は情報アドバンテージを得てしまっているので巻き戻しません。

これを今回の事例に当てはめると、

①集合した中隊に対応してこちらが神聖なる月光を使わなかったので、相手に神聖なる月光を(おそらく)持っていないという情報アドバンテージを与えています。
なので集合した中隊キャスト、ブロッククリーチャー指定は巻き戻しません。すなわちブロックはできません。

②中隊キャストに対しての優先権放棄から中隊でクリーチャーが出てくるまで私に優先権はありません。ブロック見えている情報(盤面、手札、中隊で見たトップ)に変化が無いので、巻き戻しを許可しました。

となります。
しかし、この論理はかなり脆弱です。

私が神聖なる月光をデッキに入れていることを相手は知りません。相手が神聖なる月光について考えていないのならば、②を許したなら①も許すべきと思うでしょう。

ⅱこの記事を書いていて気付きましたが、実は相手目線では、
集合した中隊解決後→(2度目のブロック指定)
の間に存在しないはずの偽物の優先権が発生しています。
これによって、
・私目線ではブロックされないので、この時点でインスタント除去を打つ必要が無いのでインスタント除去を持っているかどうか確定しない。
・相手目線ではブロックできるので、この時点でインスタント除去を打つ必要がある。よってインスタント除去を(おそらく)持っていない。
という差が生じています。これもある種の情報アドバンテージとみなすなら、②も許すべきではありません。

これらの「持っていない」という情報アドバンテージと偽物の優先権によって、今回の自分の決定に自信が持てないでいます。

みなさんは今回のケースではどのような判断をするでしょうか?

またこれらから分かることは、私が寛容であろうとして相手のミスを許すたびに、相手に対して私独自のルールを押し付けてしまっている、ということです。
FNMに参加したMTG始めたての人に厳格なルールを押し付けるのも違うと思いますが、
ウィザーズが定めた各ルール適用度を超えてミスに寛容になるなら、それはMTGというゲーム本来のものから離れていってしまいます。

みなさんの考えが何か有りましたら、ぜひコメントをお願いします。

※結論だけ見たい人は4.結論は?まで読み飛ばしてください。

Fabrizio Anteri氏がGPで不正なデッキ操作により失格処分を受けました。

FABRIZIO ANTERI DISQUALIFIED FROM GRAND PRIX MANCHESTER
http://magic.wizards.com/en/events/coverage/gpman16/fabrizio-anteri-disqualified-grand-prix-manchester-2016-05-28

そしてその失格行為の内容がイゼ速の記事で反響を呼んでいます。

現在開催中のGPマンチェスターにおいてマスターレース首位のFabrizio Anteri選手が失格に
http://www.izzetmtgnews.com/archives/20717

Fabrizio Anteri氏の失格理由は「mana weaving」という手法を使ったことです。

「mana weaving」とは、
①デッキを土地とそれ以外に均等に配分し、
②十分なシャッフルを行わない
ことで土地事故を減らす行為です。

①についてはデッキやデッキリストを作り終わった直後に必ず発生する状況です。なのでこの手法の本質は①ではなく②にあります。

MTGのシャッフルは非常に難しい問題です。シャッフルはゲーム中に頻発する行為で、不十分だと今回のように問題になり、やりすぎると遅延行為になります。
この記事ではどのようなシャッフルを行うのが適切なのか考えていきます。


1.どのようなシャッフルがあるのか
一般に知られているシャッフル方法は以下の3つです。

ファロー(またはコンバイン)
二束に分けたカードを組み合わせていく。カードとカードの隙間に挿しこんでかみ合わせていくイメージ。
無作為化しやすい手法であり、スリーブを使用している場合はカードとカードの間に隙間ができるため技術的にもそれほど難しくない。
スリーブをしていない場合はやりづらい。また、束をやや立てないと行いづらいため、カードを見たり相手に見せてしまったりというトラブルが生じる危険性もある。なるべく束を横向きにするか、シャッフル中は目線を逸らすなどの配慮が必要。
Olivier Ruelは、デッキを傾けてのコンバイン・シャッフル中に不正を疑われて失格になった。対戦相手のデッキを扱う際は慎重に。

ディール(またはパイル)
カードを複数の束に配っていく。束の数に応じて「N山切り」などとも呼ばれる(6個の山に配る場合は「6山切り」)。
技術としては非常に簡単だが、事前に並びを覚えていればシャッフル後の順番も簡単に類推できるため、無作為化の効果は低い。また、作業に時間がかかりやすい。
公式大会においては、ディール・シャッフルのみでは十分な無作為化とは認められない。必ず他のシャッフルと組み合わせる必要がある。

ヒンズー
カードの束から一部を抜き取って上へ(または下へ)置いていく。
比較的簡単だが、無作為化にはそれほど効果的ではない。


この3つに加えてカット(デッキの上半分と下半分を入れ替える行為)が一般的に使われています。

この中のどの方法にも問題があります。

ファロー:混ざりやすいが上のカードは上に、下のカードは下に留まりがち。
ディール:一番カードが散らばるがそもそもシャッフルではない。
ヒンズー:カードの上下関係は変わるが隣り合ったカードが散らばりにくい。

なので、これらのシャッフル方法を織り交ぜる必要があります。

と、ここまでが一般的なシャッフルの記事によく書かれていることです。
ですがこの記事ではより踏み込んで、どのようにこれらのシャッフルを織り交ぜれば良いのかを考えます。


2.より均一にカードを混ぜるためには
より均一にカードを混ぜるために、どのような順番にシャッフルすればいいかについて、興味深い論文があります。

TCGにおけるシャッフル手法に関する計算機実験を用いた考察
http://ci.nii.ac.jp/naid/110008583071

注目すべきは複数の手法の組み合わせ(3.5節)の部分です。
要約しますと、
①ディールシャッフルを1回行うとカードが混ざりやすい。2回目以降は効果がない。
②ディールシャッフルを最初や最後に行うより、途中に挟む方がカードが混ざりやすい。
となります。
ディールシャッフルは時間がかかるので基本的にゲームの合間にしかやりませんが、1回行うことでカード枚数の確認と大きなシャッフル効果が得られます。


3.「紳士的」「公正」にカードを混ぜるためには
なんの制約もなくカードをよく混ぜたいならシャッフル回数を増やせばいいだけです。
しかし実際のプレイでは「紳士的」「公正」にシャッフルする必要があります。
ここでいう「紳士的」「公正」とは、
・相手にイカサマを疑われないようなシャッフルを行う
・ある程度相手のシャッフル時間と歩調を合わせる
ということです。

・相手にイカサマを疑われないようなシャッフルを行う
自分がイカサマをしていなくても、相手に疑われるようなシャッフルは慎むべきです。
具体的には、ファローシャッフル、ヒンズーシャッフルを連続で繰り返す行為です。それぞれトップ操作、並び順操作を疑われかねません。
これはファローシャッフル、ヒンズーシャッフルを交互に繰り返すことで解決します。
また、ヒンズーシャッフルはカットの延長に見られがちなので、どちらか片方を行うならファローシャッフルをするべきです。

・ある程度相手のシャッフル時間と歩調を合わせる
限られた試合時間の中で、自分のシャッフルが終わった後に相手がディールシャッフルを始めたら少し嫌な気分になると思います。
ディールシャッフルはなるべく早いうちに行うべきです。

4.結論は?
以上のことを鑑みると、最も適切なシャッフルは、

①ファロー
②ディール
③ヒンズー
④ファロー
⑤ヒンズー
⑥ファロー
(⑦ヒンズー)
(⑧ファロー)
以下繰り返し

となるのではないでしょうか。
対戦中は②のディールシャッフルを飛ばしましょう。

5.付録1 自分のシャッフルは十分?
Michael A. Rutterが自分のシャッフルが十分かどうか簡単に見分ける方法を紹介しています。
かなり興味深い記事なので翻訳記事を読むことをおすすめします。

Am I Shuffling Enough - Or Correctly, For That Matter?
http://www.starcitygames.com/magic/misc/4004_Stats_101_Am_I_Shuffling_Enough_Or_Correctly_For_That_Matter.html
【翻訳】僕のシャッフルはデッキを十分に無作為化できてるんだろうか?/Am I Shuffling Enough - Or Correctly, For That Matter?【SCG】
http://regiant.diarynote.jp/201201202104281778/

もし君が平均的なプレイヤーよりも土地の偏りがひどいと思うならば、ここまで述べてきた内容から君のシャッフルが十分だったのかどうかを確認することができる。

まず24枚の土地だけ表向きにした60枚のデッキを用意する。次に、意識せずに君が普段やっているとおりのシャッフルを行う。最後にデッキを1列に並べて土地が隣り合っている箇所の個数を上で行った例(※1)のように数えてみる。
土地を大きく偏らせてからシャッフルするのがいいだろう。なぜなら24枚の束になってしまった土地を綺麗にほぐせるようになれば、君のシャッフルの技術が満足のいくレベルに達したことが分かるからだ。
この手順を4回か5回ほど繰り返し、それぞれのシャッフル後の土地の隣り合っている箇所の平均値を求めればいい。
※ 念のために補足しておくと、土地が3枚連続で並んでいた場合の「2枚連続で土地の箇所」は「2個」となる。「1個」じゃない。

もし君の平均値が11より高いなら、シャッフルの手順を変えることを考えたほうがいい。
(中略)
もし君が平均して12より高い数値を得るようなら、本気でシャッフル手段の改善を考えたほうがいい。

どこかは間違っていると思うので話半分に見てほしい。

前編では《ニッサの誓い》が土地枚数に与える影響を検証した。

Oath of Nissa / ニッサの誓い (緑)
伝説のエンチャント
ニッサの誓いが戦場に出たとき、あなたのライブラリーの一番上から3枚のカードを見る。あなたはその中からクリーチャー・カード1枚か土地カード1枚かプレインズウォーカー・カード1枚を公開してもよい。そうしたなら、それをあなたの手札に加える。残りをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く。
あなたは、プレインズウォーカー呪文を唱えるために、任意のマナを望む色のマナであるかのように支払ってもよい。


今回は色マナ換算に与える影響を考える。

Q.《ニッサの誓い》を投入してプレインズウォーカーを唱えるための色マナを減らしてよいか?

前提として、4枚入れた《ニッサの誓い》を先攻nターン目までに1枚以上引く確率は、

1T:40% 2T:44% 3T:49% 4T:53% 5T:57%

である。また、《ニッサの誓い》を2Tまでに確実に(85%以上で)唱えるために、緑マナはタップイン含めて最低14枚確保したとする。
これを踏まえて、まずは《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》について考えてみる。

・《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》 (1)(G)(G)
《ニッサの誓い》を考えずに3Tまでに唱えたい場合、緑マナを17枚確保したい。(80%)
《ニッサの誓い》を考えて80%を達成する場合、
44%の確率で手札にある《ニッサの誓い》を唱えた→100%キャスト可 なので、
残りの56%の際に合計で80%になるように(G)(G)が出ればよい。
つまり3Tまでに、
(0.80 - (0.44 * 1.00)) / 0.56 ≒ 64%
の確率で(G)(G)を出したい。そのために必要な緑マナは最低13枚である。
《ニッサの誓い》キャストに必要な14枚を下回ったので、緑マナは最低14枚入れればよい。

以上から、《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》の場合、緑マナを17→14まで減らしてもよい、という結論が出た。

また、今回は達成目標を80%に設定しているが、この部分は自由に変えてよい。
《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》の場合は、
70%→10枚 75%→11枚 80%→13枚 85%→15枚 90%→17枚
となる。

計算が面倒だと思うので、スタンダードに存在する各PWについて、達成目標値と必要な色マナについて以下に明記する。(X)(Y)(Z)はそれぞれの色マナ。

・(1)(X)(X) 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》
70%→10枚 75%→11枚 80%→13枚 85%→15枚 90%→17枚

・(2)(X)(X) 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》など
70%→8枚 75%→9枚 80%→11枚 85%→13枚 90%→15枚

・(2)(X)(Y) 《アーリン・コード》など
70%→3枚 75%→4枚 80%→5枚 85%→6枚 90%→8枚

・(3)(X)(X) 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス 》など
70%→7枚 75%→8枚 80%→10枚 85%→11枚 90%→13枚

・(2)(X)(Y)(Z) 《揺るぎないサルカン 》
70%→3枚 75%→3枚 80%→4枚 85%→6枚 90%→7枚

・(4)(X)(X) 《炎呼び、チャンドラ》
70%→6枚 75%→7枚 80%→8枚 85%→10枚 90%→12枚

・(4)(X)(Y) 《死の宿敵、ソリン》
70%→2枚 75%→3枚 80%→4枚 85%→5枚 90%→6枚

もちろんこれはPWのみの話なので、他のスペルを入れるなら当然この限りではない。
また、《ニッサの誓い》が破壊されれば前提が覆ってしまうので、それをケアするためにも多少余裕を持たせたほうがいい。

間違いがあればコメントで。
初記事はGP東京で優勝したナヤコントロールを支えるカードについて。

Oath of Nissa / ニッサの誓い (緑)
伝説のエンチャント
ニッサの誓いが戦場に出たとき、あなたのライブラリーの一番上から3枚のカードを見る。あなたはその中からクリーチャー・カード1枚か土地カード1枚かプレインズウォーカー・カード1枚を公開してもよい。そうしたなら、それをあなたの手札に加える。残りをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く。
あなたは、プレインズウォーカー呪文を唱えるために、任意のマナを望む色のマナであるかのように支払ってもよい。


今回は《ニッサの誓い》をマナベース的にどのように評価すればいいのか検証する。

Q.《ニッサの誓い》は土地0~1枚に換算してよいか?

①土地は見つかるか
一つ目の効果は土地を探せるので、アンタップ土地を探せば擬似タップイン土地、タップイン土地を探せば擬似タップインタップイン土地になる。
しかし土地25枚のデッキでトップを3枚見て土地が1枚以上見つかる可能性は80%。
土地20枚のデッキなら70%になる。
単純評価としてこのカードは土地0.7~0.8枚換算になる。

②マリガン基準がキツくなる
《森の代言者》を2T目に出したいデッキの場合、
ⅰ手札に《ニッサの誓い》があり緑マナがない
ⅱ手札に土地1枚と《ニッサの誓い》がある
ときなど、ニッサの誓いが土地でなかったことによりキープ基準を満たさない場合がある。
ⅱは行けるような気もするが、MTGは序盤にマナスクリューするとイカれるゲームなので、ⅱは約2割の確率でゲームに負けると書いてあるようなものである。
これらから、《ニッサの誓い》はマナスクリューした場合土地換算に期待できないことが分かる。

③土地を伸ばすことは可能
逆に十分量の土地が場にある場合、《ニッサの誓い》は0.8枚の土地になるし、マナフラッドを抑制する。つまり、《ニッサの誓い》は土地を削るためではなく、マリガン基準を満たせる量の土地をさらに水増しするために投入するべきだ。

具体的には、
(初手に85%以上の確率で土地2枚キープするための土地枚数) = 24枚を投入し、
ニッサの誓いを4枚投入すると、
24 + (0.8*4) ≒ 27枚 程度の土地感覚でデッキを回すことができる。
GP東京優勝のナヤコントロールは土地が26枚なので、80%以上の確率で4T目に土地が4枚出る。(《エルフの幻想家》1枚と《巨森の予見者、ニッサ》3枚を考慮すると90%を超える)

逆に土地が23枚以下のデッキはキープ基準に抵触するため、《ニッサの誓い》の効用は下がっていく。色を減らすことで②-ⅰのケースを減らすことができるが、土地を減らしたいデッキでこのカードを積みたい理由は薄いだろう。

長文になってしまったので次の記事で色マナ換算の話を書こうと思う。

ガバってる箇所があったら指摘してほしい。
神奈川でマジックしてるtortilla(とるてぃあ)です。
スタンとEDHやってます。
自作カード(トークンとか)や自作サプライの記事も書くと思います。

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